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2017-09-06

NPO訪問記番外編③:中標津・別海地域支援センター訪問

【べつかい協働のまちづくり協議会】(野付郡別海町)


事務局長の木嶋悦寛さんにお話を聞きました。木嶋さんが2006年〜2008年「べつかい協働のまちづくり町民会議」に参加する中で『まちづくり』の楽しさに目覚め、その会議の参加者を中心に発足。決してソーシャル活動が活発とは言えない地域で、町民、行政、企業など異なる分野が一緒にまちづくりに関われるよう、「中間支援」としてのコーディネート機能を模索している。昨年度は観光客ではなく生活している人向けの『別海市街地わくわくマップ』を作成、今年度は「中間支援」をカタチにしていきたいという。町議会議員であり、放課後等デイサービスの事業所を運営する木嶋さんは、「農業や町内会と福祉事業所をつなげ、障害者や高齢者が安心できるような地域にしたい、ここで子育てしたいね、子育てできるよね、という温かい地域にしたい。」と話されていた。

【なかしべつ町民活動ネットワーク】(標津郡中標津町)


代表の本間玲子さんにお話を聞きました。本間さんが「中標津町まちづくり町民会議」に参加し、その会議のファシリテーターであった道立市民活動促進センター相談員の東田秀美さんに出会ったことで「中間支援」という存在を知り、2016年末に発足。町民同士の繋がりが強く、イベントも多く、NPO活動は比較的活発な中標津。一方で本間さんは、個々のNPOと関わる中で、何か新しいことを始めるよりその活動を続けることの難しさを感じており、「中間支援」として横の繋がりをつくることで個々の団体の支援が出来ないかと考えている。町民にとってはまだ深く浸透していない「中間支援」という分野だが、今後は、町民活動団体の実施する各種イベントの開催や活動情報の一元化、各組織が持つNPOの情報を共有し、ネットワーク化するなどにより「かゆいところに手が届く」団体になりたいと話されていた。

2017-08-05

NPO訪問記番外編②:北見・白老・登別・室蘭地域支援センター訪問

~北海道NPOサポートセンター:NPO訪問記~【番外編:支援センター訪問記】


北海道NPOサポートセンターは1998年NPO法施行を視野に設立し、NPOの様々なサポートや多様な分野とのネットワークづくり等を行ってきた中間支援組織です。NPO法成立後20年が経過化した現在、今後北海道のNPO界は何を期待され、何をするべきなのかを考えるきっかけとなればと思い、北海道NPOサポートセンター事務局によるNPO訪問記を連載していますが、今回より数回にわたり番外編として支援センター訪問記を掲載します。当センターでは、3月に実施した中間支援センター研修をきっかけに、全道NPO中間支援センターのゆるやかなネットワークをつくりたいと考え、全道の中間支援センターに対し、インタビュー調査を実施することといたしました。地域の現状、地域の市民活動の現状、また、休眠預金等活用法の運用について、活動に対する成果評価の考え方などについてもお話を伺い、これを機に、北海道の中間支援センターのあり方、必要なスキル、今後全道のNPO中間支援センターがとして取り組むべき課題等を整理していきたいと考えています。


番外編②:北見・白老・登別・室蘭地域支援センター訪問


【NPO法人北見NPOサポートセンター】北見市北4条西3丁目3番地


北見NPOサポートセンターは、中間支援組織として地域住民の活動を支援するため、‘地域全体での協働’を意識した活動をしている。異分野の連携を推進することによって、地域で様々な事業を生み出す。現在力を入れているのは、空き家対策だ。今後高齢化等が進むにつれ、緊急性の高い課題として認識。今年度は、民間助成金を受けて、大学のゼミと協働で北見地域の空き家の利活用のパターン化を検証するという事業を行っている。また、近隣の遠軽や美幌のNPO等とも連携し、障がい者支援・まちづくり活動への伴走支援も行うなど、活動地域は広い。「支援センター」の役割としてはすでに、団体の設立支援よりも、既存の団体の経営・運営・横の繋がりをつくるなど、組織コンサル的内容がメインとなっているのが現状であると話されていた。




【しらおい町民活動サポートセンター】白老町大町1丁目1番1号

お話を伺ったのは、白老町役場の会議室。白老町役場が設置した「町民まちづくり活動センター」の機能を、平成28年度より、「町内会連合会」と「町民活動サポートセンター」を分けた。現在「町民活動サポートセンター」として、団体の活動支援や町が発行する情報誌の編集、防犯協会の事務局など多岐にわたる活動を行っている。現在白老町に事務所を置くNPO法人は8団体。任意団体は多数あり、その現状を把握している途上とのことだが、その多くの団体が高齢化し、世代交代が出来ずに解散してしまっているとのこと。そのような現状を鑑み、白老町の町民活動を活発化するため、様々な分野の団体の事務局長レベルが集まる「活性化支援チーム」を設置。今後町民活動にかかる研修、調査研究、地域交流の取り組みを検討していく予定だという。


【NPO法人おにスポ】登別市富士町4丁目6番地2

登別市市民活動センターのぼりんの管理運営を行う。のぼりんを活動の拠点として、おにスポ主催講座や展示イベントなどを実施。のぼりんには、貸室利用のためのサークルや講座参加のため市民がひっきりなしに訪れている。子どもから高齢者まで、様々な興味関心を持つ市民が集まる場所を運営するおにスポの役割として、現在力を入れているのが、「つなぐ」ということ。‘個々の活動は個々で完結しているが、他とつながるときに新しいことができる’、という思いから、例えばのぼりんに出入りしていた一つのサークルの要望から、地域の専門学校とのつながりを創ったり、趣味の集まりに集まっていた人を夏休みの子ども達に教える先生として活動の幅を広げたり、その他、体験会の実施や広報活動の手助けをすることで、ネットワークを広げている。今後の取り組みとしては、町内会との連携により、地域の課題解決に取り組んでいきたいと話されていた。


【NPO法人室蘭NPO支援センター】室蘭市中央町2-8-10


現在室蘭NPO支援センターのメンバーはそれぞれが、公設公営の室蘭市市民活動促進センターにて行政パートナーとして活動したり、コミュニティFMで活動したりしながら、団体の設立や助成金申請支援、イベント開催に必要な種々の書類作成の支援など寄り添った支援活動を行っている。今後2018年12月完成予定の「室蘭市生涯学習センター」に移転し、市民活動支援機能を受託する予定。現在拠点がある地域にはチャレンジショップを共同で借り、雑貨店・共同事務所を開設、将来的に2ヶ所の拠点から、室蘭市全体をカバーする支援センターを目指す。現在の市民活動実践者に寄り添った支援スタイルを継続し、相談者を待っているものではなく、外に出て団体の活動する現場での活動を展開していくという。






NPO訪問記番外編①:帯広・釧路地域支援センター訪問

~北海道NPOサポートセンター:NPO訪問記~【番外編:支援センター訪問記】

北海道NPOサポートセンターは1998年NPO法施行を視野に設立し、NPOの様々なサポートや多様な分野とのネットワークづくり等を行ってきた中間支援組織です。NPO法成立後20年が経過化した現在、今後北海道のNPO界は何を期待され、何をするべきなのかを考えるきっかけとなればと思い、北海道NPOサポートセンター事務局によるNPO訪問記を連載していますが、今回より数回にわたり番外編として支援センター訪問記を掲載します。当センターでは、3月に実施した中間支援センター研修をきっかけに、全道NPO中間支援センターのゆるやかなネットワークをつくりたいと考え、全道の中間支援センターに対し、インタビュー調査を実施することといたしました。地域の現状、地域の市民活動の現状、また、休眠預金等活用法の運用について、活動に対する成果評価の考え方などについてもお話を伺い、これを機に、北海道の中間支援センターのあり方、必要なスキル、今後全道のNPO中間支援センターがとして取り組むべき課題等を整理していきたいと考えています。

番外編①:帯広・釧路地域支援センター訪問


【市民活動プラザ六中 ソフト事業推進室】帯広市東11条南9丁目1番地(旧帯広第六中学校跡)


お話を伺ったのは、2011年に閉校になった中学校の跡施設 市民活動プラザ六中。市民活動プラザ六中管理運営コンソーシアム(十勝障がい者支援センター、ふれあいデジタル工房、とかち共同作業所により構成)が管理・運営しているが、入居する全事業所・団体によって構成される市民活動プラザ六中施設利用者連絡会により、各事業所・団体間はもとより、地域住民との情報共有と連携をはかるという、これまでの公共施設では見られない仕組みで運営されている。校内にウォーキングコースをつくったり、ふまねっと、8の日ジャンプなど地域の方々が主体となって介護予防のための体力づくりを実施。毎年開催する『六中祭』には600人を超える市民の方々がおとずれ、日頃の活動を知ってもらう機会としている。現在5年目。やっと、地域住民に対する認知度が上がってきたというところ。「何か」したいという市民はたくさんいることを実感しており、自分にできることで誰かの役に立ちたいと考えている人の、人と人をつなぐ場所・役割となることをめざし、今後はもっと相談機能を強めていきたいと考えているという。

【NPO法人帯広NPO28サポートセンター】帯広市西1条南28丁目4番地


帯広NPO28サポートセンターが管理運営をしている十勝エコロジーパークエールセンターでお話を聞きました。お話しいただいた千葉理事長が今のNPOに一番感じているのが、「NPOには活動という概念はあるが、経営という概念がない。」という部分だという。帯広市市民活動交流センターでNPO等に対する相談・助言等も行っているが、想いや活動があっても、資金計画が出て来ない方が多いそうだ。前出の休眠預金等活用法の運用についても、「助成金は経営を安定させるものではない」、「休眠預金で賄っていた部分を、助成終了後までにどういう風に埋めることが出来るのか」を考えることが重要と訴えた。帯広NPO28サポートセンター自身も自主事業として、長年培ってきた河川教育の技術を“観光”の分野に生かすことで自主事業を確立し、経営の安定化を進めている。自分たちだけではうまくいかないものも、その道のプロとつながることで道が開ける場合がある。そういったマッチングを考えるためにも、今のNPOには「経営」という概念が必要と強調されていた。

【NPO法人Bonos】釧路市北大通9丁目1番地

Bonosの活動は、ある時は「コミュニティカフェ くるる」で打ち合わせ、またある時は支援先のNPOで会計業務支援、近隣の釧路町や鶴井村で町民参加でのまちづくりのコーディネートなどなど。。。個々の団体に対しては、決算や諸手続のサポートなど、ありとあらゆる支援を行っているが、最近では、手続き面の支援よりも支援先の団体が課題だと思っていないところを探すことが多いという。例えば福祉系の、元々制度がなかったときから、ボランティアでやってきた人と、制度化された中で雇用されて仕事としてやっている人の温度差が大きいという団体自身が抱えている悩みについては、法人のミッション、地域での役割を創立メンバーがきちっと伝え、次の担い手を育てる体制にあるのか、という問いを投げかけ、課題として意識させる。また中間支援組織は、「付加価値をつくる存在」「NPO・行政・民間事業者をつなぐ役割」ということを強く意識して活動しているという。企業とNPO、それも全く違う分野で事業をしている組織同士コラボなどは中間支援の腕の見せ所。広く多様なネットワークから生み出される中間支援組織としての活動のさらなる展開が楽しみだ。

【NPO法人くしろ・わっと】釧路市末広町3丁目1番地

釧路地域のまちづくりを行っていくために市民活動を応援し、つなぎ、育てるための支援をすることを目的とした「釧路市民活動支援センターわっと」の管理・運営を行っている。くしろ・わっと主催のパソコン講座等への参加や、印刷機や会議室を使用するための地域住民が頻繁に出入りされていた。パソコンから情報を集めにくい高齢者中心の市民活動団体に対して助成金の申請などのデータ化などのサービスを行うなど、寄り添った支援を行なっている。また地域に密着したイベントを、一年を通して開催しており、今年もっとも力を入れている企画は、「防災」。釧路における市民レベルの防災力向上、防災リーダーの養成を目的として6月から1月まで月一回のワークショップを実施する。その他、社協などとも合同・横断的に実施していきたいと話されていた。

2017-05-15

NPO訪問記~NPOファシリテーションきたのわ 代表理事 宮本 奏氏

第5回:NPOファシリテーションきたのわ
代表理事 宮本 奏氏

札幌市出身。学生時代より国際協力活動に関わり、国際青年環境NGO A SEED JAPANの事務局、その後札幌で環境NGOezorock(現NPO法人ezorock)の事務局として関わる。ezorockで活動する中で、ジャンルや年代などを超えた様々な方々が、「はじめまして」からひとつのイベントを作りあげていくという過程の面白さを感じ、そんな中ファシリテーション・グラフィックの講座に参加したことをきっかけに講座に参加しメンバーと共にファシリテーションの学習会を実施。その後そのメンバーとNPOファシリテーションきたのわ(以下、きたのわ)を設立した。

当団体にお越しいただき、お話を聞きました。

会議の面白さを伝える

きたのわが関わる講座や研修会で出会う人たちは、まず「会議が楽しい」というイメージがない。長い、つまらない、、、なので、楽しい会議を経験してもらう、そこから興味を持っていただきたいという。2015年度、「もっと話し合いを楽しくするためのアイディア講座」を開催。その講座では、まずは「会議」という言葉自体を考えるところから始めた。理想の会議のカタチを話すと見えてくる、「そのためにはどうしたらよいか」。模擬会議で見えてくる「会議の楽しさ」。2016年度にはいろんな団体の普段の会議はどういう風にやっているかをまとめた『NPOのミーティングの事例集vol.1』をつくった。「その団体らしい会議運営とは?」に着目し、その団体が目指すビジョンや目的がどのように会議の中で意識されているか、表現されているかをインタビューした。その団体が意識しないでやっていることが実はその団体の会議運営の大きなポイントである場合も多かったという。

活動の中で大事にしていること

きたのわが大事にしていること。それは「実践を学べる場」としての役割である。きたのわのメンバーは現在17名。それぞれがお互いに講座・研修において進行補助や運営補助として関わり、実践している人を観察し、学ぶ。それは、会議をつくるという感覚は実践をしながら身に付けていくことという認識からだ。また、組織として月一回学習交流会を実施し、事例検討などを行っており、メンバー間での現場の具体的な実践の共有や意見交換を大切にしている。

中間支援組織としての役割:「会議」という視点からNPOを応援!

現在きたのわの活動は、現場での話し合いやワークショップの進行・紹介、講座や研修会の実施であり、対象は町内会や行政、NPOなど市民活動・まちづくりに関わる団体・人たち。NPOからの依頼の中には、「ミッションの再構築」「中長期計画づくり」の進行というものがある。NPO法成立より20年を経過した現在、団体設立時に掲げた団体のミッションは、現在の社会状況、団体の現状、現スタッフの想い・考え方と合致しているでしょうか。単年度の事業に追われ、中長期の計画を考えられているでしょうか。NPOのミッションや事業計画は、理事・職員含めすべて団体関係者が積極的に参画し、お互いの強みや課題を共有しながら構築されるべきもの。各個人が主体的に関わる手助けとなるのが、第三者のファシリテーターです。「北海道のNPOが行動を生み出す参加型の場づくりの支援」をミッション(一部抜粋)とするきたのわは、事業継承や世代交代に悩むNPO界にとって期待される役割は今後ますます大きくなっていくと思われます。北海道NPOサポートセンターでは、今後、きたのわと連携し、組織づくりに悩むNPO等の基盤強化に取り組んでいきたいと考えています。(文責:中西)

【NPOファシリテーションきたのわ】

ファシリテーションを活用して、道内のまちづくりの現場をサポートしたいという思いから、2010年4月設立。住民が対話を通じて地域やコミュニティの課題を解決していく社会の実現を目指して、学習交流会など情報交換の場づくり、会員同士の現場で実践する機会づくり、地域での話し合いやワークショップの組立・進行・紹介をしている。
お問い合わせはHPより⇒ https://kitanowa.jimdo.com/

2017-03-08

北海道NPOサポートセンター:NPO訪問記~NPO法人えべつ協働ねっとわーく

北海道NPOサポートセンターは1998年NPO法施行を視野に設立し、NPOの様々なサポートや多様な分野とのネットワークづくり等を行ってきた中間支援組織です。NPO法成立後20年が経過化した現在、今後北海道のNPO界は何を期待され、何をするべきなのかを考えるきっかけとなればと思い、北海道NPOサポートセンター事務局によるNPO訪問記を掲載しています。今回は、当団体と同様に民設民営の中間支援センターを運営している団体を訪問しました。 

第4回:NPO法人えべつ協働ねっとわーく
事務局長 成田 裕之氏

北海道江別市出身。江別市でパソコンのメンテナンスや販売などの事業を行いながら2011年よりえべつ協働ねっとわーくの活動に関わり、「江別まち検定」の運営などを行う。2015年度より現職。

江別市民活動センター・あい(江別市野幌町10番地1イオンタウン江別)にてお話を聞きました。

協働によるまちづくり


えべつ協働ねっとわーくの設立経緯は、まさに行政との協働によるもの。現在の活動も「協働によるまちづくり」をキーワードに、例えばコミュニティ・カフェと製粉会社が協働で商品開発するつなぎ役や、大学生の視点から地域の魅力を考えるWSの開催、小学校に通い、朝の授業開始前10分間でまちづくりについて知ってもらうという活動もしている。現在、スタッフ2名、有償ボランティア5名程度で運営している。少ない資金と人員をもっていかにして最大限の効果を出すか。江別市内のNPO法人数は33。立ち上げの相談も現在のところ1~2件であることから、NPOの設立講座やNPO会計講座などのノウハウ講座ではなく、「どれだけ多くの市民を市民活動に巻き込むか」に視点を絞って講座・イベント等を企画しているのだという。

民設民営の市民活動センター


拠点としているのは大手商業施設の2階、様々な人が行きかう開放的なスペース。フラダンスやズンバなど自主講座やその他会議等を行う部屋の他、印刷機を備えた作業部屋も完備している。市の出先機関と勘違いされることも多いが、設置・運営は完全な「民設民営」。民設民営の中間支援センターとしてここまでのスペース・設備を持っている団体は珍しい。市の再開発により5年前に当時の拠点から立ち退かざるを得なくなり、市の斡旋で拠点を移した。市からの補助は家賃のみ(一部自己負担)。その他運営についての補助金はないため、目下の課題は´運営費‘。自主講座の運営による収益が前年度決算で15%程度。この部分を、より多くの市民にセンターの存在・活動を知ってもらうことにより、増やしていくことで、安定した運営を行えるようにしたいとのこと。
組織の安定的な運営は市民活動団体共通の課題。それは支援センターでも同じ。当センターでは、市民活動団体の安定的な経営について、今後も調査・研究し、情報共有をしていきたいと考えています。(文責:中西)


【NPO法人えべつ協働ねっとわーく】

2004年江別市が市内約150団体に対して、行政と市民との協働のあり方の検討や、団体相互の認識共有などを呼びかけ、53団体が参加する「えべつ市民活動・協働ねっとわーく懇談会」を設立。その後同懇談会と市は協働で市民活動センター創設についての検討を重ね、2006年NPOえべつ協働ねっとわーくが設立、同年「江別市民活動センターあい」をオープンした。市民活動団体と行政、市民等とのつなぎ役となり、これを手法として、協働によるまちづくりを目指すことを特徴としており、市民活動団体のみならず、行政、大学、企業等との幅広いネットワークの構築を行っている。

2017-02-06

北海道NPOサポートセンター:NPO 訪問記〜NPO法人コンカリーニョ

北海道NPOサポートセンターは、1998年NPO法施行を視野に設立し、NPOの様々なサポートや多様な分野とのネットワークづくり等を⾏ってきた中間支援組織です。NPO法成立後20年が経過化した現在、今⼀度北海道のNPOの現状を整理し、今後北海道のNPO界は何を期待され、何をするべきなのかを考えるきっかけとなればと思い、事務局によるNPO訪問記を掲載しています。今回は、管理運営する⽣活支援型文化施設コンカリーニョの開設10周年として2016年に1年間にわたり様々なプログラムを実施、昨年末にかけてのクラウドファンディングも大成功に導いたNPO法⼈コンカリーニョを訪問しました。

第3回:NPO法人コンカリーニョ


コンカリーニョが管理運営をしているあけぼのアート&コミュニティセンター(札幌市中央区南11条西9丁目)にて、理事長斎藤ちずさんと3名の職員の方々にお話を聞きました。(以下、文責:定森、中西)


若手職員の育成と事業継承


北海道のNPO界、とりわけアート系NPOでは超有名人コンカリーニョ創立者で理事長の斎藤ちずさん。ここ数年、「先を見越して投資することの必要性」を感じ、マネジメントが出来る人材の育成に力を入れているという。一番の目的は事業継承、世代交代。その取り組みの一つとして2016年、創立メンバーや理事、若い職員みんなで約半年かけてコンカリーニョの新しい経営理念をつくった。「地域とのつながり」ということを大切にしてきたが、それが重荷になっているのではないか、世代間ギャップがあるのではないか、という思いからの発案だったという。何度も話し合いを繰り返す中で、創立メンバーは若い職員に対する信頼を高めることが出来、職員は創立メンバーの想いを聞き、お互いにこの先どこに進んでいくべきか方向性の共有が出来たという。経営理念を作り出す過程こそが価値ある時間だった。

クラウドファンディングの成功!


2016 年は生活支援型文化施設コンカリーニョ開設10周年を記念し、様々なプログラムを実施した年。その企画の一つ、クラウドファンディング「劇場の灯りを消すな!」は、Facebookを中心に盛り上がり、お金を出せない若者はコンカリーニョチャレンジを発案、遠く九州まで広がった結果、266 名、4,546,000 円の支援、達成率151%と、大成功で終了。次の10 年につなげ、支えてくれる多くの人たちが見えたことで、職員が「続けていきたい」「この恩返しは行動で示していきたい」と強く感じることが出来たという。また、ちずさん曰く、この企画により「コンカリーニョの次世代を担う若い職員の存在が表立ったこともよかった」とのこと。
太田さんの強い推薦により昨年より職員となった。自身も役者。
入職してすぐに10 周年year においてコンカリーニョ主催演劇のプロデュース。大成功に導いた。

大学入学と同時にボランティアスタッフ「Caritto(カリット)」として参加。大学卒業と同時に職員となる。
自身も劇団を主宰する演出家。

あけぼのアート&コミュニティセンター事務局長。太田さんが職員になることによりセンターの収益がぐぐっとUP した。コンカリーニョが行う様々な企画の制作・プロデュース等を行っている。

ちずさんを囲んで


これからのコンカリーニョ


NPO法人コンカリーニョの管理運営する本拠地である琴似のコンカリーニョという劇場は、演劇に携わる者としては憧れの場所だという。札幌の小劇場の中では最大規模で、その分費用もかかるが、それに見合う価値がある。客席を自由に設定でき、壁を塗ったり水を張ることもOKと自由度が高いため、枠に囚われないアート活動が可能だ。また、夏祭りや餅つき大会など地域とのつながりの拠点としての役割も担う存在でもある。今回お話を聞いた3名は、「好きな場所で好きな仕事をしている」(米沢さん)「まだまだやりたいことがたくさんある」(藤谷さん)「普通に会社で働いていた頃には発想も出来なかったことが仕事としてできる」(太田さん)と話す。そのように生き生きと活動できる背景には、コンカリーニョという拠点があること、その活動に関わる様々な人の繋がりの“使い方”を教えてくれたちずさんと、ちずさんの「何かあったらちずがケツをふくから!」という言葉がある。「つっかけサンダルで来れる劇場」(ちずさん)、まちとアートをつなぐ架け橋になるため、若手職員を中心により地域とつながった活動を企画中とのこと。楽しみで仕方ない。

NPO法人コンカリーニョ】
1988 年斎藤ちず氏がJR 琴似駅北に石造りの倉庫を発見したことに始まる。その後その倉庫を「コンカリーニョ」と名づけ運営。地区の再開発事業で倉庫が解体するも再建活動を立ち上げ、2003 NPO 法人化。2006 年生活支援型文化施設コンカリーニョを再オープンし、現在3か所で劇場運営、舞台制作、まちづくり活動、イベント企画、アートマネジメント等を行っている。コンカリーニョの軌跡については『NPO 法人コンカリーニョ10周年記念誌~アイスルコトニデアオウ~』をぜひご覧ください。

お問い合わせ先:011-615-4859(コンカリーニョ 担当:斎藤さん

2016-12-05

北海道NPOサポートセンター:NPO訪問記~NPO法人室蘭NPO支援センター 理事長 三木 真由美氏

第2回:NPO法人室蘭NPO支援センター
理事長 三木 真由美氏

茨城県出身。大学卒業後、材料系技術者として3年勤め主婦。室蘭のコミュニティFM立ち上げにボランティアとして関わる中で「室蘭市市民活動センター」の「行政パートナー※」スタッフとなり中間支援に出会う。ボルト人形「ボルタ」を製作するNPO法人テツプロの運営に携わり、民間視点の中間支援が必要と痛感。「室蘭市民活動ネットワーク」メンバーを中心にNPO法人室蘭NPO支援センターを設立。室蘭の歴史的建造物に着目した蘭歴建見会立ち上げなど、様々な方面から市民活動を行っている。
※自分の持つ知識・経験・時間などの能力を活かし、市の事業やイベントに参加・協力したり、事業や業務を担うなど、行政とともにまちづくりに取り組む有償のボランティアで市民活動団体や個人が「行政パートナー」です。(室蘭市HPより)

室蘭市市民活動センター(室蘭市海岸町1-20-30)にてお話を聞きました。

活センの活動として


現在三木さんが行政パートナーとして活動している室蘭市市民活動センター(通称活セン)は公設公営。市役所職員3名+行政パートナー1名(6名が交替勤務)で運営されている。登録団体は125団体(11月末現在)。印刷機の使用や会議スペースの利用のほか、まちづくりしたい!室蘭の昔のにぎやかさを取り戻したい!という熱い思いを持って相談に来られる方も多い。その中で三木さんたち行政パートナーは市職員とともに、広報誌『かわらばん』の作成などの情報発信や市民活動団体の運営相談などを行っている。定款の作り方はもちろんのこと、銀行口座の作り方やどこの会議スペースが安く利用できるなど運営上の小さな疑問にも寄り添う。
また、商業施設等で市民活動を紹介する「市民活動ミュージアム」や、各団体の活動報告と団体同士の交流を目的として、登録団体を集めた「ティーミーティング」をそれぞれ年に1回開催している。「ティーミーティング」という名称もユニークだが、年に一度の情報交換・交流の場は各団体の活動に対する意欲、やる気を盛り上げる一助になっていることは間違いない。

2018年12月市民活動支援の民営化!


活センは2018年12月完成予定の「室蘭市生涯学習センター」に移転し、運営が民間に委託される。委託後の市民活動支援機能はNPO法人室蘭NPO支援センターが担当することが9月に決まった。活動者に寄り添いながら「一緒にやる感じ」の支援をすすめつつ、活動者を応援し増やしていきたいとのこと。活セン立ち上げに尽力された行政マンは、当時、「毎月市民活動する者みんなが集まれる場となるような仕掛けを作りたい」との思いがあったそうだ。「当時の担当者の思いを実現するため、気軽にみんなが集まる場づくりを考えていきたい」という。新たな拠点で今後の室蘭の市民活動をどのようなかたちで盛り上げてくれるのか、楽しみだ。

最後に…北海道のNPO界に期待することを伺いました


「地域を超えて情報共有をして、活動がより活発になればと思う。歴史的建造物の保存活動は函館や小樽などの先進事例に学びたいし、分野が違っても同じような疑問はでるだろうから」とのこと。どんな相談に対しても「寄り添う」支援と地域で活動する方々同士の情報共有の場づくりというのは当センターも非常に参考にしたいと思いました。道内中間支援センターのハブ機能を持ちうる当センターは中間支援センター同士の情報共有の場づくりを今後検討していきたいと考えています!(文責:中西)

【NPO法人室蘭NPO支援センター】

2014年法人化。2004年より前身団体の「室蘭市民活動ネットワーク」として活動を開始し、ネットワークづくりや様々なイベントや講座等を実施するなど市民活動活性化に寄与。現在は、メンバーそれぞれが別団体で活動しながら市民活動の情報収集・発信、団体設立や運営支援などの活動を行っており、上記2018年の移転後の活動に向け準備中。

2016-11-04

北海道NPOサポートセンター:NPO訪問記~ 2016年11月

NPO法が施行されてより15年以上が経ち、2012年時改正においては寄付税制が整いました。制度としてのNPO・非営利活動の体制はかなりの段階まで整ったと言えます。しかしながら、それはゴールではなく、ようやく一般市民がNPO活動を行う際の制度的な障壁がなくなったことを示すに過ぎません。今号より、北海道NPOサポートセンター事務局によるNPO訪問記を掲載します。新たな始まりを感じていただければ幸いです! 

第1回:NPO法人コミュネット楽創
理事・事務長・総務部長 本多俊紀氏

1973年3月生まれ。「便利屋」をやりながら障害福祉に携わる中で、「障害者100人を雇える企業を1社作るより、1人障害者を雇う企業を100社つくるべき」と考え、関わりのあった小規模作業所の法人化に尽力。2013年より現職。


今年4月にオープンしたばかりの「がん・メンタルヘルス リワークセンター Live-Laugh(リブラフ)」の事務所でお話を聞きました。

市民活動団体としての組織マネジメント


現在4つの事業所を運営しているコミュネット楽創は、総会、理事会、それぞれの事業所のスタッフ会議の他、団体の会員で構成される運営委員会を月に1回程度開催している。各運営委員会の構成はスタッフが半数、それ以外が半数。特筆すべきは事業所運営委員会以外の委員会を二つ設けていること。就労支援委員会では就労支援に関する様々な研究や研修、勉強会を幅広く行っており、もう一つの地域ネットワーク委員会では、市民活動団体であるという意識から、主な活動として「夜のお茶の間」を月一回、開催している。「夜のお茶の間」は新潟県の「地域の茶の間」事業をモデルにしたもので、誰でも気軽に参加でき、自由にくつろぎ、一緒にご飯を食べる場。昨今いい意味でも悪い意味でもサラリーマン化してしまうNPOが多い中、障害福祉をやっている団体である一方で市民活動団体であるということをスタッフが認識できるような活動は、多くのNPOにも実践していただきたい部分である。

スタッフの育成


職員数は29名。パート1名と嘱託1名を除くすべてが正職員。しっかりと身分保障をして仕事に全力を尽くしてもらいたいという法人の方針である。設立当初は「スタッフがこの団体でずっと働き続けることは難しいだろう」と考えていたが、現在は「安心して家族を増やせる」(現在スタッフ一名が産休・育休中)団体に成長し、今年度新規採用は何と9名!学会発表を奨励し、学会発表したものを社内研修で発表すると金一封!スタッフ一名につき研修費用は6万円と設定し、年に一度は道外研修を義務付けるなど、スタッフ研修にはとても力を入れている。

最後に…北海道のNPO界に期待することを伺いました


「一団体にしか関わっていないので答えるのは難しいですが…、私たち(コミュネット楽創)のことだけでいうと、社会にとっていい仕事をしていく・公益活動をしていくこと、それを事業化していくことが大事だと思っています。そのためには、持続性を保つことを重要視しています。」「社会的に意義のある活動だからこそ、続けることが大事。」とのこと。持続性を保つために、スタッフを大切にし、組織経営をしっかりとしていく必要があると考えているという。組織経営については日々悩みが尽きないとのことでしたが、NPOとしての役割を日々模索しながら活動する本多さんの、熱い思いをお聞きすることが出来ました。

【NPO法人コミュネット楽創】


2004年2月法人格取得。障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービスとして就労移行支援事業所「コンポステラ」(札幌市北区16条西4丁目2-35)、「ホワイトストーン」(札幌市白石区本郷通6丁目南2-1)、札幌市の委託で就労などに関する専門機関として「就業・生活相談室からびな」(札幌市北区北17条西4丁目2-28)、「がん・メンタルヘルス リワークセンター Live-Laugh(リブラフ)」(札幌市北区北18条西3丁目1-12)を運営する他、映画上映会の開催や町内のお祭りなど地域に密着した活動にも力を入れている。