2016-11-04

北海道NPOサポートセンター:NPO訪問記~ 2016年11月

NPO法が施行されてより15年以上が経ち、2012年時改正においては寄付税制が整いました。制度としてのNPO・非営利活動の体制はかなりの段階まで整ったと言えます。しかしながら、それはゴールではなく、ようやく一般市民がNPO活動を行う際の制度的な障壁がなくなったことを示すに過ぎません。今号より、北海道NPOサポートセンター事務局によるNPO訪問記を掲載します。新たな始まりを感じていただければ幸いです! 

第1回:NPO法人コミュネット楽創
理事・事務長・総務部長 本多俊紀氏

1973年3月生まれ。「便利屋」をやりながら障害福祉に携わる中で、「障害者100人を雇える企業を1社作るより、1人障害者を雇う企業を100社つくるべき」と考え、関わりのあった小規模作業所の法人化に尽力。2013年より現職。


今年4月にオープンしたばかりの「がん・メンタルヘルス リワークセンター Live-Laugh(リブラフ)」の事務所でお話を聞きました。

市民活動団体としての組織マネジメント


現在4つの事業所を運営しているコミュネット楽創は、総会、理事会、それぞれの事業所のスタッフ会議の他、団体の会員で構成される運営委員会を月に1回程度開催している。各運営委員会の構成はスタッフが半数、それ以外が半数。特筆すべきは事業所運営委員会以外の委員会を二つ設けていること。就労支援委員会では就労支援に関する様々な研究や研修、勉強会を幅広く行っており、もう一つの地域ネットワーク委員会では、市民活動団体であるという意識から、主な活動として「夜のお茶の間」を月一回、開催している。「夜のお茶の間」は新潟県の「地域の茶の間」事業をモデルにしたもので、誰でも気軽に参加でき、自由にくつろぎ、一緒にご飯を食べる場。昨今いい意味でも悪い意味でもサラリーマン化してしまうNPOが多い中、障害福祉をやっている団体である一方で市民活動団体であるということをスタッフが認識できるような活動は、多くのNPOにも実践していただきたい部分である。

スタッフの育成


職員数は29名。パート1名と嘱託1名を除くすべてが正職員。しっかりと身分保障をして仕事に全力を尽くしてもらいたいという法人の方針である。設立当初は「スタッフがこの団体でずっと働き続けることは難しいだろう」と考えていたが、現在は「安心して家族を増やせる」(現在スタッフ一名が産休・育休中)団体に成長し、今年度新規採用は何と9名!学会発表を奨励し、学会発表したものを社内研修で発表すると金一封!スタッフ一名につき研修費用は6万円と設定し、年に一度は道外研修を義務付けるなど、スタッフ研修にはとても力を入れている。

最後に…北海道のNPO界に期待することを伺いました


「一団体にしか関わっていないので答えるのは難しいですが…、私たち(コミュネット楽創)のことだけでいうと、社会にとっていい仕事をしていく・公益活動をしていくこと、それを事業化していくことが大事だと思っています。そのためには、持続性を保つことを重要視しています。」「社会的に意義のある活動だからこそ、続けることが大事。」とのこと。持続性を保つために、スタッフを大切にし、組織経営をしっかりとしていく必要があると考えているという。組織経営については日々悩みが尽きないとのことでしたが、NPOとしての役割を日々模索しながら活動する本多さんの、熱い思いをお聞きすることが出来ました。

【NPO法人コミュネット楽創】


2004年2月法人格取得。障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービスとして就労移行支援事業所「コンポステラ」(札幌市北区16条西4丁目2-35)、「ホワイトストーン」(札幌市白石区本郷通6丁目南2-1)、札幌市の委託で就労などに関する専門機関として「就業・生活相談室からびな」(札幌市北区北17条西4丁目2-28)、「がん・メンタルヘルス リワークセンター Live-Laugh(リブラフ)」(札幌市北区北18条西3丁目1-12)を運営する他、映画上映会の開催や町内のお祭りなど地域に密着した活動にも力を入れている。