第3回:NPO法人コンカリーニョ
コンカリーニョが管理運営をしているあけぼのアート&コミュニティセンター(札幌市中央区南11条西9丁目)にて、理事長斎藤ちずさんと3名の職員の方々にお話を聞きました。(以下、文責:定森、中西)
若手職員の育成と事業継承
北海道のNPO界、とりわけアート系NPOでは超有名人コンカリーニョ創立者で理事長の斎藤ちずさん。ここ数年、「先を見越して投資することの必要性」を感じ、マネジメントが出来る人材の育成に力を入れているという。一番の目的は事業継承、世代交代。その取り組みの一つとして2016年、創立メンバーや理事、若い職員みんなで約半年かけてコンカリーニョの新しい経営理念をつくった。「地域とのつながり」ということを大切にしてきたが、それが重荷になっているのではないか、世代間ギャップがあるのではないか、という思いからの発案だったという。何度も話し合いを繰り返す中で、創立メンバーは若い職員に対する信頼を高めることが出来、職員は創立メンバーの想いを聞き、お互いにこの先どこに進んでいくべきか方向性の共有が出来たという。経営理念を作り出す過程こそが価値ある時間だった。
クラウドファンディングの成功!
2016 年は生活支援型文化施設コンカリーニョ開設10周年を記念し、様々なプログラムを実施した年。その企画の一つ、クラウドファンディング「劇場の灯りを消すな!」は、Facebookを中心に盛り上がり、お金を出せない若者はコンカリーニョチャレンジを発案、遠く九州まで広がった結果、266 名、4,546,000 円の支援、達成率151%と、大成功で終了。次の10 年につなげ、支えてくれる多くの人たちが見えたことで、職員が「続けていきたい」「この恩返しは行動で示していきたい」と強く感じることが出来たという。また、ちずさん曰く、この企画により「コンカリーニョの次世代を担う若い職員の存在が表立ったこともよかった」とのこと。
太田さんの強い推薦により昨年より職員となった。自身も役者。
入職してすぐに10 周年year においてコンカリーニョ主催演劇のプロデュース。大成功に導いた。
|
大学入学と同時にボランティアスタッフ「Caritto(カリット)」として参加。大学卒業と同時に職員となる。 自身も劇団を主宰する演出家。 |
あけぼのアート&コミュニティセンター事務局長。太田さんが職員になることによりセンターの収益がぐぐっとUP した。コンカリーニョが行う様々な企画の制作・プロデュース等を行っている。
|
ちずさんを囲んで
|
これからのコンカリーニョ
NPO法人コンカリーニョの管理運営する本拠地である琴似のコンカリーニョという劇場は、演劇に携わる者としては憧れの場所だという。札幌の小劇場の中では最大規模で、その分費用もかかるが、それに見合う価値がある。客席を自由に設定でき、壁を塗ったり水を張ることもOKと自由度が高いため、枠に囚われないアート活動が可能だ。また、夏祭りや餅つき大会など地域とのつながりの拠点としての役割も担う存在でもある。今回お話を聞いた3名は、「好きな場所で好きな仕事をしている」(米沢さん)「まだまだやりたいことがたくさんある」(藤谷さん)「普通に会社で働いていた頃には発想も出来なかったことが仕事としてできる」(太田さん)と話す。そのように生き生きと活動できる背景には、コンカリーニョという拠点があること、その活動に関わる様々な人の繋がりの“使い方”を教えてくれたちずさんと、ちずさんの「何かあったらちずがケツをふくから!」という言葉がある。「つっかけサンダルで来れる劇場」(ちずさん)、まちとアートをつなぐ架け橋になるため、若手職員を中心により地域とつながった活動を企画中とのこと。楽しみで仕方ない。
【NPO法人コンカリーニョ】
1988 年斎藤ちず氏がJR 琴似駅北に石造りの倉庫を発見したことに始まる。その後その倉庫を「コンカリーニョ」と名づけ運営。地区の再開発事業で倉庫が解体するも再建活動を立ち上げ、2003 年NPO 法人化。2006 年生活支援型文化施設コンカリーニョを再オープンし、現在3か所で劇場運営、舞台制作、まちづくり活動、イベント企画、アートマネジメント等を行っている。コンカリーニョの軌跡については『NPO 法人コンカリーニョ10周年記念誌~アイスルコトニデアオウ~』をぜひご覧ください。
お問い合わせ先:011-615-4859(コンカリーニョ 担当:斎藤さん)