2017-04-14

報告 子供の貧困対策マッチングフォーラム

報告 子供の貧困対策マッチングフォーラム
~企業や団体、市民、自治体が、いま、できることをみつける場に!~

内閣府主催の「子供の貧困対策マッチングフォーラム」が3月12日(日)に藤女子大学 北16条キャンパスで開催されました。本フォーラムは、地域において自治体をはじめ、NPO等の団体、企業等の顔の見える関係作りを促進し、多様な子供の困難に寄り添っていける環境づくりの一環として実施しました。当法人は共催団体のひとつとして、企画・運営にかかわりました。
まずは「貧困を子どもの困りごとから考える」をテーマに、公益財団法人あすのば 村尾政樹氏による基調講演。自身のご経験をもとに子供の貧困対策に何が求められるのかをお話頂きました。その後、3つの分科会に分かれ、それぞれのテーマについて深めました。報告は以下の通り。
■分科会1は「立ち上げ」をテーマとして、実際にこども食堂を立ち上げ、運営している方々をパネリストに迎え、こども食堂運営の実態や課題、そしてこどもたちを取り巻く現状について意見交換が行われました。 はじめに、各食堂の紹介が行われました。こども食堂の設立に至るまでの経緯や現在の運営状況について、エピソードを交えつつ、こどもたちへの思いを語っていただきました。「はじめは周囲の協力が思うように得られず苦労したものの、試行錯誤を重ねるうち、定期的にこども食堂を開くことができるようになった」というのがお三方共通の回答でした。また、「こどもたちが安心して過ごせる場所にしたい」という思いは共通でありながらも、こども食堂はそれぞれ異なる形で実現していることも知ることができました。 次に、参加者からの質問に対してパネリストが回答する形式で意見交換が行われました。全般的な質問については、「地域の方々や行政などをこまめに回ったり、ブログ、チラシや回覧板等を活用したり、と周知に力を入れた」、「こどもたちの間に目立ったトラブルは見られない」、などがお三方共通の回答でした。また、その他には、「考えていたよりも大人の参加者が多かった」、「こども食堂に通う子はかわいそうな子、というイメージがつかないか心配」、「ボランティアやスタッフに対して、言葉づかいなどのレクチャーやミーティングを行っている」、「毎日同じ場所でこども食堂を開くのではなく複数の場所で開いた方がよい。多様な人と出会い価値観が高まるし、そもそも地域で一か所だけでこども食堂を開くにも限界がある」、「少しずつではあるが地域の課題に対応できている実感がある」、等の回答がありました。パネリストのみなさんのこどもたちへのあたたかい気持ちをうかがい、こどもたちの現在そして未来を考えるよいきっかけとなりました。
■分科会2は、「協働」がテーマで、47人が参加しました。ファシリテーターは、藤女子大学生活学部食物栄養学科講師の隈元晴子氏、パネリストとして学習支援と居場所づくりをしているNPO法人Kacotamの高橋氏、Kacotamと協働しているFRSコーポレーションの徳島氏、藤女子大学在学時に隈元ゼミで協働に関わった河江氏が登壇しました。貧困家庭の子供の環境に足りないものはという問いかけに対して高橋氏は「学校の先生と家族だけという社会的なつながりの弱さ」をあげ、「弱いつながりでもよいから、たくさんつくっていく必要があるのではないか」と述べられました。また、NPOとの協働のきっかけについて、徳島氏は「環境系の会社を経営しているが、知り合いに子供たちの自然体験活動を行っている人がいた。やりたいと思っていたことでもあり、Kacotamと一致点を見出すことができた。社会貢献活動については、勤務時間の1%程度をあてることは気にしていない。本来の仕事もあるので、現場の団体を支援するスタンスでいきたい。企業活動と社会貢献活動のバランスを考えていきたい」と述べられました。河江氏は、孤食の問題を指摘され、「食と気持ちには関連があり、子どもを取り巻く環境に気になる兆候があると、食事のとり方に現れるのではないか。ただ自分は中学校に勤めているが、表に出さない子も多い」と述べられました。ファシリテーターの隈元氏は、「いかに気づいていくか、そして親や周囲へのアウトリーチが必要。資金面、広報面など行政に支援を期待したい。つながりをつくり、埋もれがちな問題をどう吸い上げていくか、ひとごとでなく、自分ごととしてとらえることが大切だ」とまとめました。
■分科会3は「雇用」をテーマとして、親世代の貧困が子どもの教育等に影響を与え世代を超えて貧困状態から抜け出せなくなるという、いわゆる“貧困の連鎖”を断ち切るため、親世代の貧困をどう回避するか、を主軸に意見交換が行われました。①人材マッチングと②持続的に働いていける環境づくりの2つの視点から、まずはパネリストより活動紹介。その後、「企業はどういった人材を求めているか」というテーマにおいて、(一社)北海道中小企業家同友会札幌支部支部長宇佐美氏からの「主体的な人材」という回答に対し、一人親家庭の支援をしているしんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道平井氏からは、シングルマザーは一人で家事・育児・仕事を行っているため、マルチワーカーとしての素質がある、というお話があり、一方で若者の就労支援を行なっているNPO法人コミュニティワーク研究実践センター穴澤氏からは、オールマイティさがない若者でも‘ある’能力が突出しているという場合がある、というお話をいただきました。次のテーマ「企業はどう採用して、どう育てるか」「具体的にどのような働き方があるか」に対しては、タイムシェアリングなど新しい仕事の仕方や、中小企業2社で専門分野に突出した一人を雇用する、というような提案や、‘合わない’から働けない、ではなく、就業している人も企業もお互いに歩み寄ることが大切というお話がありました。最後に各パネリストより、‘育児中’や‘一人親’、というキーワードだけではなく、‘介護’は誰にとっても関係のあるもの、お互いに支えあう、助け合う時代において、企業側の頭の切り替えの必要性や、困難を抱えていても安定した仕事で安定して暮らしたいという就業希望者と企業とのコーディネートの活動も重要とのお話を頂き、終了しました。

☆北海道NPOサポートセンターでは、本フォーラムを機に、子供の貧困対策活動支援窓口(仮称)設置に向け、検討しているところです。子ども食堂を開きたい!ボランティアをしたい!という方は是非ご相談ください。
【お問い合わせ】北海道NPOサポートセンター(担当:定森)
TEL 011-200-0973  Mail info@hnposc.net